Amazonや国税庁を名乗る詐欺メールが、毎日のように届いていませんか?
最近の詐欺メールは本物そっくりで、1通ずつ見分けるだけでも大変です。
そこでおすすめしたいのが、見る前にはじいてくれるメールサービスに切り替えることです。
詐欺メールが多くて困っているなら、Gmailへの切り替えを検討してみましょう。
この記事では、
- Gmailにすると何が変わるのか
- 切り替えのデメリットと、それでもおすすめする理由
- 今のメールからの切り替え手順
をわかりやすく解説します。
詐欺メールはどのくらい届いている?
フィッシング対策協議会に寄せられた報告だけでも、2026年9月の1か月間で94,661件にのぼります。
| 順位 | 名前を悪用された企業・機関 |
|---|---|
| 1位 | Amazon(全体の約33.2%) |
| 2位 | Apple(約11.1%) |
| 3〜5位 | セゾンカード、アメリカン・エキスプレス、国税庁 |
国税庁の名前も悪用されているので、事業者にとっても他人事ではありません。
9月の報告は前月より約15%増えています。
1通ずつ見分けるのは限界
詐欺メールの対策というと、「怪しいメールを見分けましょう」と言われることがほとんどです。
しかし、自分で見分けるやり方には、次の弱点があります。
- 本物そっくりのロゴや文面を、毎回確認する時間と労力がかかる
- 忙しいときや疲れているときに、見落としやすい
- 何百通見分けられても、1回間違えただけで被害につながる
つまり、見分ける力を上げるより、見分けなければならないメールそのものを減らす方が、ずっと楽で安全です。
Gmailにすると何が変わる?
Googleの説明によると、Gmailは迷惑メール・フィッシング・ウイルス付きメールの99.9%以上を受信トレイに届く前に止めていて、止めている数は1日に約150億件にのぼります。
これはGoogleが公表している、メール全体についての数字です。
| 場面 | Gmailの働き |
|---|---|
| 危険なメールが届いたとき | 受信を拒否して、そもそも届かないようにする場合がある |
| 怪しいメールが届いたとき | 自動で迷惑メールフォルダへ振り分ける |
| 差出人を確認できないとき | 差出人の名前の横に「?」の印が出る場合がある |
| すり抜けたとき | 「迷惑メールを報告」「フィッシングを報告」のボタンで報告できる |
詐欺メールの多くを受信トレイで見なくて済むので、見分ける手間と、うっかり開いてしまう機会の両方が減ります。
朝のメールチェックで詐欺メールを1通ずつ確認して消す、という作業も減らせます。
なお、フィッシング対策協議会のガイドラインは、メールサービスによって対策に差があるとして、次の3点でサービスを選ぶよう勧めています。
- 送信ドメイン認証(差出人のなりすましを調べるしくみ)に対応している
- 認証された正しいメールに、マークが付く
- すり抜けた不正なメールの報告窓口がある
Gmailには、この3つに対応する機能がそろっています。
切り替えのデメリットは?
切り替えには手間もかかります。
| デメリット | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 登録先の変更 | 銀行・カード・取引先などのメールアドレスを変更する必要がある | 大事なものから順に変える |
| しばらく2つのアドレスを使う | 変更が終わるまで、古いアドレスにもメールが届く | 今のメールからGmailへ転送する |
| 過去のメールの移行 | 取り込みはできるが、フォルダは引き継がれない | 必要なメールだけ移す、古いメールは残しておく |
| 保存容量 | 無料は15GBで、Googleドライブや写真と共有 | 容量がいっぱいになると送受信できなくなるので、ときどき確認する |
| 大事なメールの振り分け違い | 必要なメールが迷惑メールフォルダに入ることがある | 週に1回は迷惑メールフォルダを確認する(30日で自動的に削除される) |
つまり、手間がかかるのは主に切り替えの最初だけです。
手間より、1回の被害の方が大きい
切り替えの手間を考えても、それ以上におすすめする理由は、詐欺に一度でも引っかかったときの損害が大きいからです。
| 公的なデータ | 数字 |
|---|---|
| ネットバンキングの不正送金の被害額(2025年/令和7年) | 約104億円 |
| そのうち法人の被害額 | 約47億円(前年の約11億円から増加) |
| 不正送金のうち、メールで偽サイトに誘導された件数(2025年/令和7年) | 2,211件 |
| サイバー被害があった中小企業の平均被害額 | 約73万円(うち9.4%は100万円以上) |
| 被害からの復旧にかかった期間 | 平均5.8日 |
出典:警察庁「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等」統計データ、IPA「中小企業における情報セキュリティ対策の実態調査」(2024年度)
※不正送金はメール以外の手口も含み、中小企業の平均被害額も詐欺メールに限った数字ではありません。
お金の被害だけでなく、取引先への連絡や、パスワードの変更、原因の調査にも時間を取られます。
1回の被害に比べれば、メールアドレスの切り替えにかかる手間は小さいといえます。
切り替えの手順
個人事業主や、自分用のメールを切り替える場合の手順です。
① Gmailのアドレスを作る
Googleアカウントの作成ページから、無料で作れます。
② 2段階認証を設定する
パスワードが盗まれても、すぐには乗っ取られないようにする設定です。
Googleアカウントの「セキュリティ」の画面から設定します(公式の手順)。
指紋や顔でログインできる「パスキー」も設定できます。
パスキーは偽サイトではログインに使えないしくみなので、詐欺メールの対策としても有効です。
③ 今のメールからGmailへ転送する
今のメールの管理画面(プロバイダやレンタルサーバーの設定画面)で、Gmailへの自動転送を設定します。
これで、登録先の変更が終わるまでの間も、メールを見落としにくくなります。
ただし、転送されたメールは、差出人の確認がうまくいかず、迷惑メールに振り分けられたり、正常に届かなかったりすることがあります。
転送を設定したら、必要なメールが届いているか確認し、移行中は迷惑メールフォルダもこまめに見るようにしましょう。
④ 大事なところから登録先を変える
次の順に、新しいGmailのアドレスへ変更していきます。
- 銀行、クレジットカード
- e-Taxや地方税の電子申告、自治体の電子申請など、メールアドレスを登録している公的サービス
- 取引先、お客様
- 仕入先やネットショップなどの登録サービス
連絡先は、Googleコンタクトのインポートで取り込めます。
⑤ 古いアドレスはすぐに消さない
変更を忘れていた連絡が届くことがあるので、しばらく残して様子を見ましょう。
フィッシング対策協議会のガイドラインでも、大量に詐欺メールが届く場合は新しいアドレスを作って登録先を変えることを勧めていて、古いアドレスは残しておいてもよいとしています。
注意:2027年1月に終わる機能
Googleの案内によると、2027年1月に次の機能が終了します。すでに新しく設定できない場合もあります。
- ウェブ版のGmailで、他社のメールを取りに行く機能(「他のアカウントのメールを確認」)
- 他社のメールに迷惑メール対策などを適用するGmailifyという機能
- Gmailの画面から、他社のメールアドレスとして送信する機能(送信元)
終了するのは、Gmail側から他社のメールを取りに行く設定です。
今のメール(プロバイダやレンタルサーバー)の側で設定する自動転送は、2027年1月以降も使えます。
ただし、転送されたメールに返信すると、Gmailのアドレスから送信されます。
古いアドレスのままやり取りを続けることはできなくなるので、新しいGmailのアドレスに切り替えていくことが前提になります。
会社のメール(@会社名)はどうする?
無料のGmailで使えるのは「@gmail.com」のアドレスです。
「@会社名」のアドレスのままGmailを使いたい場合は、有料のGoogle Workspaceを使います。
| 項目 | Google Workspace Business Starter |
|---|---|
| 料金(1人あたり月額・税別) | 年間プラン800円、月ごとのプラン950円 |
| アドレス | 自社のドメイン(@会社名)が使える |
| 保存容量 | 1人30GB(メールとGoogleドライブなどで共有) |
料金は変わることがあるので、公式の料金ページで確認してください。
会社のメールを移すときは、ドメインの設定変更が必要で、設定を間違えるとメールが届かなくなることもあります。
ホームページの制作会社やサーバー会社に相談しながら進めましょう。
会社のメールを変えたくない場合は、取引先との連絡は今までのメールのまま、銀行やネットサービスの登録用だけGmailにするという使い分けもできます。
切り替えた後に気をつけること
Gmailにしても、詐欺メールが1通も来なくなるわけではありません。
- 受信トレイのメールでも、リンクは押さずに公式アプリや公式サイトから確認する
- すり抜けた詐欺メールは「迷惑メールを報告」しておく
- 週に1回は迷惑メールフォルダを確認する
詐欺の手口は 最近急増しているビジネスメール詐欺・LINE詐欺とは や AIを悪用した詐欺の新しい手口と対策 でも解説しています。
まとめ
- 詐欺メールは1通ずつ見分けるより、見る前にはじいてもらう方が楽で安全
- Gmailは、迷惑メールなどの99.9%以上を受信トレイに届く前に止めているとGoogleが説明している
- デメリットは登録先の変更などの手間だが、かかるのは主に最初だけ
- 1回の被害の損害を考えれば、切り替えのメリットの方が大きい
- 他社のメールを取り込む機能は2027年1月に終了するので、新しいGmailのアドレスに切り替えていく
毎日の詐欺メールの確認に時間を取られているなら、まずは無料のGmailアドレスを1つ作るところから始めてみましょう。
パソコン側の基本対策は 会社のITセキュリティ基本対策、ホームページ側の対策は PHPの脆弱性の記事 で解説しています。
※本記事は、2026年10月31日時点のGoogle、フィッシング対策協議会、警察庁、IPAの公表情報をもとに、概要をわかりやすく解説することを目的として作成しています。
サービスの内容や料金は変わることがあるので、実際の設定や契約については、各社の公式の案内をご確認ください。
