1. なぜ相続税対策が必要か
近年の相続税は基礎控除額が縮小され、都市部を中心に「相続税が発生する家庭」が増えています。
特に不動産や事業資産を持つ方は、事前に対策をしないと想定以上の納税額に直面しかねません。
そこで効果的なのが 生前贈与を活用した節税 です。
2. 生前贈与の基礎控除「110万円」を活用する
生前贈与には、年間 110万円まで非課税 となる「基礎控除」があります。
- 子や孫に毎年110万円ずつ贈与
- 複数年継続することで大きな節税効果
例:10年間にわたり、子供2人に110万円ずつ贈与すれば 合計2,200万円 が非課税で移転可能です。
💡 注意点
- 毎年、贈与契約書を作成し、贈与の事実を明確に残す
- 贈与資金は受贈者本人が管理・使用できるようにする
3. 贈与税と相続税の税率を比較する
贈与税は相続税に比べて税率が高いイメージがありますが、低額帯では贈与税の方が有利になる場合もあります。
- 贈与税の最低税率:10%(310万円以下の贈与)
- 相続税の最低税率:10%(課税価格1,000万円以下)
つまり、相続税の課税価格が1,000万円を超える可能性がある方は、310万円以下の贈与を計画的に続ければ
相続税を減らす効果が期待できます。
4. 法定相続人以外への贈与で「7年以内の持ち戻し」を防ぐ
相続開始前 7年以内に行った贈与 は、原則として相続財産に持ち戻されます。
ただし、これは 法定相続人への贈与のみ が対象です。
👉 そこで効果的なのが、
- 子供の配偶者(義理の娘・息子)
- 孫
への贈与です。
これらの人は「法定相続人ではない」ため、贈与から7年以内に被相続人が亡くなっても
持ち戻しの対象になりません。
ただし、遺言により子供の配偶者や孫に遺贈した場合は「7年以内の持ち戻し」の対象になるので
注意が必要です。
そして法定相続人以外への遺贈は「相続税の2割加算(法定相続人以外への相続税割増課税)」の
対象にもなるため注意が必要です。
5. 相続税対策での注意点
相続税の節税を目的とする場合でも、以下の点に注意しましょう。
- 贈与契約書や振込記録など、形式をきちんと整備する
- 生前贈与を行うときは、生活資金に支障をきたさない範囲で実施する
- 不動産の贈与は登録免許税・不動産取得税が発生するため、現金贈与と比較して慎重に検討する
- 孫への贈与は「教育資金一括贈与非課税制度」や「結婚・子育て資金非課税制度」と
組み合わせて活用するのも有効
6. まとめ
相続税の節税対策は、「早めの準備」と「計画的な贈与」 がカギです。
- 毎年110万円の基礎控除を活用
- 少額贈与で相続税より有利なケースを利用
- 法定相続人以外への贈与で持ち戻しを回避
税理士などの専門家と相談しながら、最適なスキームを構築することが、資産を守るうえで欠かせません。