法人経営において、役員への報酬は「経費」として計上できるため、節税手段として有効です。
ただし、役員に支払う**賞与(ボーナス)**については、通常の従業員とは異なり、事前の工夫が必要になります。
✅ 役員賞与は「事前確定届出」が必須
役員に賞与を支給する際は、
①株主総会等によって事前確定届出給与の決議をした日(決議をした日が職務執行開始日後である場合はその開始日)から1ヵ月を経過する日 又は
②会計期間開始の日から4ヵ月を経過する日
のいずれか早い日に金額と支給時期をあらかじめ税務署に届け出ておく必要があります。
この手続きを「事前確定届出給与」といい、これを行うことで賞与も損金(経費)として処理可能になります。
※届け出なしに支給すると、賞与分は経費にならず、法人税の負担が増えるため注意が必要です。
✅ 社会保険料を抑えるテクニック
賞与の社会保険料(健康保険・厚生年金)には上限があり、それ以上は社会保険料は増えません。
具体的には健康保険は年間573万円、厚生年金は月間150万円です。
つまり毎月の役員報酬を低く設定し、役員賞与を多くすることで社会保険料を抑えることができます。
💡 具体例:年間役員報酬を1,000万円支給する場合
項目 | 毎月の役員報酬 60万円 | 毎月の役員報酬 10万円 |
---|---|---|
毎月の役員報酬 | 60万円×12か月=720万円 | 10万円×12か月=120万円 |
役員賞与 | 280万円 | 880万円 |
社会保険料 | 約136万円 | 約65万円 |
住民税 | 約63万円 | 約70万円 |
所得税 | 約83万円 | 約97万円 |
手取り | 約718万円 | 約768万円 |
手取り差額 | +50万円 |
✅ まとめ:上手な活用ポイント
ポイント | 内容 |
---|---|
事前届出 | 役員賞与は税務署に事前届出を出すことで、経費として処理可能 |
上限の活用 | 役員賞与が一定額を超えると、社会保険料が固定される |
節税効果 | 賞与も経費になるため、法人税の節税効果が期待できる |
📌 注意点
- 届出は厳密なスケジュール管理が必要です。遅れると経費にできません。
- 社会保険の算定基準や税制は変更されることがあるため、税理士・社労士に相談のうえ実施するのが安心です。