はじめに
最近、「自宅に住みながら資金を得られる制度」として銀行や不動産会社から
提案されることが増えているのが リバースモーゲージ と リースバック です。
一見すると「老後資金の解決策」に見えますが、実際には大きなリスクを伴うことから、
安易に飛びつくのは危険です。
今回は、両制度の仕組みとメリット・デメリットを整理し、なぜ注意が必要なのかを解説します。
リバースモーゲージとリースバックの仕組み
リバースモーゲージ
- 自宅を担保にして金融機関から融資を受ける
- 契約者が亡くなるまで、または契約満了まで自宅に住める
- 融資は一括受取または年金形式で分割受取が可能
リースバック
- 自宅を不動産会社に売却し、同時に賃貸契約を結ぶ
- 売却代金を一括で受け取り、その後は家賃を支払って住み続ける
共通点:いずれも「自宅に住み続けながらまとまった資金を得られる」という仕組み。
一見魅力的に見えるメリット
金融機関や不動産会社は次のように説明します。
- 老後の生活資金をすぐに確保できる
- 住み慣れた家から引っ越す必要がない
- 使途の自由度が高い
- 将来的に買い戻しできる場合もある
こうした説明を聞くと「便利な制度だ」と感じる人も少なくありません。
リバースモーゲージのデメリット
- 融資打ち切りのリスク
想定より長生きした場合、融資枠を使い切ってしまい「これ以上貸せません」と言われる可能性がある。 - 不動産価格下落の影響
家の価値が下がると、予定していた融資額が減額されることがある。 - 家族の同意が必要
相続財産が減るため、相続人の同意が求められる。トラブルの原因にもなりやすい。 - 金利変動のリスク
多くは変動金利のため、将来的な金利上昇で返済額が増える恐れがある。
リースバックのデメリット
- 所有権を失う
家を子どもに相続できなくなり、資産形成の観点で損になる可能性がある。 - 家賃負担が続く
将来的に家賃が上がるリスクがあり、支払いが滞れば退去を迫られることもある。 - 安値で売却されやすい
市場価格より低く買い取られるケースが多い。 - 住み続けられない可能性
賃貸契約が更新されなければ、退去せざるを得ない。
結論:安易に利用すべきではない
リバースモーゲージやリースバックは「自宅を手放さずに資金を得られる」ように見えますが、
長期的に見るとデメリットが多く、特に高齢者にとってリスクが大きい制度です。
資金が必要な場合は、まずは以下の選択肢を検討する方が健全です。
- 不動産を通常の形で売却する
- 親族間で資金援助を検討する
- 公的支援制度や年金の活用を確認する
大切なマイホームを巡る決断ですから、「目先の資金」だけで判断せず、長期的な影響を考えたうえで
行動することが求められます。