【2025年・2026年改正】通勤手当の非課税限度額の改正まとめ|遡及精算から65km以上新区分・駐車場代まで解説

【2026年5月更新】令和7年(2025年)分の年末調整は完了済みです。
遡及精算の実務対応については下記をご参照ください。
また、2026年4月1日より令和8年度改正が施行されました。
詳細は記事末尾の追記をご確認ください。

2025年11月、国税庁より通勤手当の非課税限度額の改正が公表されました。
今回の改正は「2025年11月に公表されたにもかかわらず、
2025年4月1日以後に支払われるべき通勤手当から適用する」という非常に例外的な遡及適用です。

そのため、給与・経理担当者の間でも認知が追いついておらず、
年末調整で必ず精算が必要になるケースが出ています。

この記事では、改正の内容・対象期間・年末調整での実務対応をわかりやすくまとめます。


1. 改正の根拠|国税庁:通勤手当の非課税限度額の改正について

📌 国税庁|通勤手当の非課税限度額の改正について
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025tsukin/index.htm

📌 改正後の限度額一覧表(PDF)
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025tsukin/pdf/01.pdf

📌 年末調整での記載例・取り扱い(PDF)
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025tsukin/pdf/02.pdf


2. 改正内容

今回の改正は、次のようなマイカー通勤・自転車通勤など「交通用具使用者」が対象です。

  • 通勤距離が片道10km以上で非課税限度額が引き上げ
  • 公共交通機関(電車・バス)の限度額150,000円は従来通り

例)片道45km以上~55km未満
旧限度額:28,000円
新限度額:32,300円

距離区分ごとの詳細は次を参照:
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025tsukin/pdf/01.pdf


3. 改正の適用時期|2025年4月1日以後に支払われるべき通勤手当が対象

国税庁によると、

令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当から適用

と明記されています。

しかし公表は 令和7年11月(2025年11月) であったため、次の問題が発生します。

■ 実務上のポイント

✔ 2025年4月〜11月に支払った通勤手当はすでに支給済み

  → 旧限度額で課税処理されている可能性が高い

✔ 新限度額を適用すると「非課税にできる金額が増える」

  → 本来より多く課税してしまった=源泉所得税を徴収しすぎている

✔ 年末調整で過不足を精算する必要がある

  → 4〜11月分を遡及計算して修正する

この「遡及適用」が今回の改正の最大の注意点です。


4. なぜ年末調整に影響するのか?

2025年4月〜11月分の給与はすでに支給済みであり、
その通勤手当について 旧限度額で課税処理されているケースがほぼ確実 です。

そのため、

  • 新限度額に沿って再計算(非課税枠の増加分を算出)
  • 課税対象額が減る
  • 源泉所得税を取りすぎている
    年末調整で税金を返す

という流れになります。

国税庁は以下の資料で、年末調整での具体的な記載例を示しています。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025tsukin/pdf/02.pdf


5. 実務担当者が行うべき対応チェックリスト

✔ ① 給与ソフトが新限度額に対応しているか確認

11月の公表後にアップデートされたソフトが多いですが、
自動反映されないソフトも多数 あります。

✔ ② 従業員の距離区分を再確認

距離区分(片道km)が誤っていると限度額も間違うため、この機会に再確認を。

✔ ③ 2025年4〜11月の通勤手当を再計算

以下を照らし合わせる:

  • 支給した通勤手当の総額
  • 新非課税限度額(改正後)
  • 差額(過大課税額)

✔ ④ 年末調整で源泉所得税の過不足を精算

従業員へ返金(または他控除との相殺)を行う。

記載例を参考:
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025tsukin/pdf/02.pdf

✔ ⑤ 源泉徴収簿の数値を修正

非課税額の増加により、課税対象額が変わるため、
源泉徴収簿の金額も修正が必要。


6. 実務で起こりやすい間違い

● よくある間違い①:自動で新限度額に切り替わると思っている

→ 多くの給与ソフトは手動設定が必要。

● よくある間違い②:4月~11月分も再計算が必要なことに気づかない

→ 公表日が11月なので見落としがち。

● よくある間違い③:距離区分を昔のまま使っている

→ 従業員の通勤ルート変更が未更新のままの企業が非常に多い。


7. まとめ:2025年の年末調整は“通勤手当の遡及精算”が必須

今回の改正は、

  • 公表は2025年11月
  • 適用は2025年4月に遡る
  • 交通用具使用者の非課税枠が引き上げ
  • 既に課税処理した通勤手当の精算が必要

という、実務負荷の大きい内容です。

特に地方はマイカー通勤者が多く、影響が大きい改正です。

年末調整で正しく精算しないと、
従業員の税金を過大徴収したままになるため、確実な処理が求められます。


■ 免責事項

本記事は、公開情報に基づき一般的な解説を行ったものであり、
特定の会社・個人の状況に対して税務上の判断を保証するものではありません。
また、記事内容の正確性・最新性の確保には努めておりますが、
法令改正・通達等により内容が変更される可能性があります。
本記事を利用して生じたいかなる損害についても、当サイトは一切の責任を負いかねます。

具体的な税務判断・年末調整の処理については、必ず税理士・専門家へご相談ください。


【2026年4月追記】令和8年度改正|65km以上の新区分と駐車場代の非課税化

2026年4月1日より、通勤手当の非課税限度額についてさらなる改正が施行されました。主なポイントは2つです。

① 片道65km以上の距離区分が新設

従来は「55km以上」が最長区分でしたが、新たに65km以上の区分が追加されました。長距離通勤者ほど非課税枠が広がります。宮崎・鹿児島のように移動距離が長い地域では特に影響が大きい改正です。

片道の通勤距離改正後の非課税限度額(月額)
55km以上65km未満38,700円(2025年改正済み・変更なし)
65km以上75km未満46,300円(新設)
75km以上85km未満54,000円(新設)
85km以上95km未満60,200円(新設)
95km以上66,400円(新設)

② 駐車場代が月額5,000円まで非課税に

勤務先周辺または通勤に利用する駅・停留所周辺の駐車場を使用している場合、その料金相当額(上限月5,000円)が通勤手当の非課税枠に上乗せされます。

例えば片道20km通勤で月12,900円の非課税枠がある場合、駐車場代5,000円を加えた合計17,900円まで非課税で支給できます。

実務での対応ポイント

  • 給与ソフトの距離区分の設定を確認・更新する
  • 65km以上の通勤者がいる場合は限度額を見直す
  • 駐車場代を負担している従業員がいる場合は非課税枠の加算を検討する
  • 2026年4月1日以後に支払われる通勤手当から適用(それ以前の差額追加支給は対象外)

詳細は国税庁の公表資料をご確認ください:国税庁|通勤手当の非課税限度額の改正について(令和8年度)

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