年末・来期の融資対策 |銀行が評価する決算改善と審査に通りやすいタイミング

年末から来期にかけては、中小企業にとって“融資戦略の最重要期間”です。
銀行は決算書を基準に企業の与信評価を行うため、この時期の動き次第で来期の融資枠や
資金繰りの安定性が大きく変わります。

さらに、金融機関には「融資が通りやすい時期」が存在し、
このタイミングを知って動くだけで審査の通りやすさが変わることも珍しくありません。

本記事では、
① 銀行が重視する決算書の改善点
② 融資が通りやすい時期
③ 来期に向けた銀行評価の上げ方
④ 融資が難しい時の代替策

をまとめて解説します。


1.年末〜来期は“融資戦略のゴールデンタイム”

■ 銀行は「決算書」で企業価値を判断する

銀行は1年を通じて月次試算表をチェックしますが、最終判断を下すのはやはり決算書。
決算前の数ヶ月は財務内容を整えることで、銀行の印象を最も改善しやすい時期です。

■ 年末は資金需要が増える

賞与・仕入・税金などで運転資金が増え、銀行も相談が増える時期。
金融機関が積極姿勢になりやすいタイミングでもあります。

■ 来期の事業計画を示すと評価が高くなる

銀行は「事前相談してくれる経営者」を高く評価します。
見通しを早めに共有することで、融資枠を広げるチャンスになります。


2.銀行が最も重視する“5つの評価ポイント”

銀行は感覚ではなく「数字」と「継続性」で判断します。
特に次の5項目は必ず見られます。

① 営業利益(本業で稼げているか)

補助金や雑収入に頼っていないか、利益の“質”を見ています。

② キャッシュフロー(営業CF)

黒字でも資金が減っていれば評価は下がります。
銀行はPLよりキャッシュを重視する傾向が強いです。

③ 借入の構成(短期借入が多くないか)

短期借入が積み上がっている企業は資金繰り難と判断されます。

④ 役員貸付金・仮払金が膨らんでいないか

最も嫌われる勘定科目。使途不明金と判断されかねません。

⑤ 税金・社保の滞納がないか

滞納は“信用低下の最大要因”。
多少の赤字より悪影響が大きく、最優先で解消すべきです。


3.年末にできる決算書の改善ポイント

ここからは、決算前に“見栄えをよくする”ための具体策です。

① 在庫の圧縮・棚卸の見直し

売れない在庫を抱えるほどキャッシュ効率が悪化。
期末に整理することでBS・資金繰りの両面が改善します。

② 不良資産の整理

不要な固定資産、長期滞留の売掛金を処分することで決算書の健全性が向上。

③ 売掛金・買掛金の期末整理

請求・計上のズレは評価を落とします。
年末の突合せ作業は銀行評価アップに直結します。

④ 役員貸付金の回収

銀行が最も嫌う項目なので、
・役員からの返済
・役員報酬と相殺
などで圧縮するのが最優先。

⑤ 経費計上漏れのチェック

経費漏れは“見かけ上の利益”が増え、納税額が増えるだけ。
税理士任せにせず、経営者自身も確認を。


4.来期に向けた「融資が通りやすくなる事業計画」の作り方

銀行は「過去より未来」を重視しています。

① 売上予測は“根拠”が重要

「前年実績+契約見込み+市場動向」
の3要素を入れると説得力が増します。

② 粗利率の改善策を必ず入れる

売上だけでなく、
・仕入の見直し
・値上げ戦略
・無駄な費用削減
など“稼ぐ力”の改善が評価されます。

③ なぜ今年投資するのかを説明できるように

採用・設備投資などの回収イメージを示すと審査で有利。

④ 返済スケジュールは無理のない設定で

返済負荷が重い企業は追加融資が通りにくいため、
期間延長は効果的な改善策になります。


5.融資が通りやすい“時期とタイミング”を知っておく

銀行にも決算があり、審査の温度感が変わる時期があります。

● 1〜3月(年度末)…最も通りやすい

  • 銀行は3月が本決算
  • 貸出残高を増やしたい時期
    → 新規融資・追加融資に積極的

● 7〜9月(中間決算期)…次に通りやすい

  • 中間決算の数字を作りたい時期
  • 8〜9月は融資相談に前向き

● 地銀・信金の“決算月前後”は狙い目

多くは3月・9月だが、独自の決算月を持つ金融機関もある。
決算前後は案件を通しやすい傾向があります。

● 逆に通りにくい時期(注意)

■ 4月(年度初め)

方針が固まらず、新規融資に慎重。

■ 10〜11月

予実管理が厳しく、貸出余力が縮む時期。

■ 12月後半

審査部が止まりやすく、スピードが低下。

金融機関は意外と“時期の影響を受ける”ため、
相談するタイミングをずらすだけで成功率が変わる ことがあります。


6.銀行との関係構築で融資成功率が上がる

融資は“書類だけ”で決まるわけではありません。

① 月次試算表を毎月提出する

銀行が最も好む行動。
情報が早く来る企業は管理能力が高いと評価されます。

② 悪い情報ほど早めに相談する

資金厳しい時こそ早めの相談が加点ポイントになります。

③ 事業計画書は簡易版でも良い

書類の有無だけで印象が変わります。

④ 小さな改善でも“報告”が評価を育てる

銀行担当者が上司に説明しやすくなるため、融資が通りやすくなります。


7.それでも融資が難しい場合の“安全な代替策”

① 公的融資(日本政策金融公庫・保証協会)

民間で難しくても公庫は柔軟。
金利・返済期間も有利。

② 返済猶予(リスケ)の早期相談

ギリギリで相談するより、早い方がむしろ好印象。

③ 小規模企業共済の貸付制度

掛金の範囲で低金利・即日対応も多い。

④ ファクタリングは“3社間”なら安全

手数料が安く、資金調達として比較的健全。

⑤ 手元資金は最低“2〜3ヶ月分”を確保

銀行が最も重視する安全ラインです。


まとめ|年末こそ融資戦略を整える最大のチャンス

年末〜来期に行う
・決算書の改善
・事業計画の準備
・銀行への情報提供
・審査が通りやすい時期の把握
これらを徹底するだけで融資の通過率は大きく変わります。

特に年末から年度末(1〜3月)は、
融資が最も通りやすい絶好のタイミング

財務の見直しと計画づくりを今から進めることで、
来期の資金繰りは驚くほど安定します。

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