はじめに:節税・不労所得という甘い誘い
最近、「節税しながら不労所得を得られる」としてワンルームマンション投資を
すすめる営業が増えています。
特に、医師や大手企業勤務などの高所得層サラリーマンを中心に、
「年収が高い人ほど節税効果が大きい」と巧みに誘導されるケースが多く見られます。
しかし実際には、ワンルーム投資は「節税」どころかローン負担と修繕リスクを背負う高リスク事業です。
ここでは、副業感覚で始めて後悔する前に知っておきたい、
業者の営業トークの裏側と実際のリスクをわかりやすく解説します。
ワンルーム投資とは?節税できると言われる仕組み
ワンルームマンション投資とは、主に都市部の単身者向け物件を購入し家賃収入を得る仕組みです。
営業マンは「減価償却で節税になる」「ローンの利息も経費で落とせる」と説明します。
確かに初年度は減価償却や諸費用で赤字になり、所得税が一時的に軽減されることもあります。
しかしそれは**“節税効果が出るのは最初の数年だけ”**。
その後は家賃収入が安定しても、修繕費や金利負担で帳簿上は黒字化し、
税金負担がむしろ増すケースが大半です。
つまり「節税になる」は、短期的な数字上の話であり長期的には通用しないというのが実態です。
サブリース契約の落とし穴:「家賃保証」ではない
営業でよく使われる言葉に「サブリース(家賃保証)付き」があります。
「空室になっても家賃がもらえるから安心」と思いがちですが、
実際にはこの仕組みに大きな落とし穴があります。
サブリース契約は、オーナーが管理会社に一括で物件を貸し出し、
その会社が入居者に再貸与する仕組みです。
このとき業者は**手数料として家賃の10〜20%**を差し引いて支払います。
さらに契約書には、
「家賃改定は2年ごとに見直し可能」
「契約は双方の合意なく解除できる」
といった文言が記載されていることが多く、
家賃減額や契約打ち切りが自由にできる構造になっています。
つまり「家賃保証」とは名ばかりで、保証ではなく“業者が利益を確保する仕組み”に過ぎません。
実際、契約から数年で家賃を2~3割減額された事例も珍しくありません。
不動産投資=副業ではなく「不動産事業」
「サラリーマンの副業として手軽」「管理は業者に任せておけばOK」
──このように説明されることがありますが、現実には不動産投資は完全な事業運営です。
所有者には以下のような負担・責任があります。
- 固定資産税・都市計画税の支払い
- 修繕積立金・管理費の支出
- 設備不良・入居者トラブルへの対応
- 退去時のリフォーム費用
- 確定申告(青色・白色申告)
これらは**「副業」ではなく「経営」**です。
手間をかけずに利益を得るどころかトラブル対応や赤字補填に追われるケースも少なくありません。
営業トークに潜む危険な誘導と違法行為
特に注意すべきは、「住宅ローンが使えます」「節税になります」といったトーク。
住宅ローンは自宅を購入するための融資であり、投資目的で利用するのは契約違反です。
金融機関に知られれば、一括返済を求められたり信用情報に傷がつくおそれがあります。
また「年収○○万円なら通ります」「今買わないと金利が上がります」などと焦らせる営業も典型的な手口。
冷静に考えれば、数千万円の借金を“節税”目的で背負うこと自体が本末転倒です。
なぜ高属性の人ほど狙われるのか?
ワンルーム投資業者が狙うのは、年収が高く、ローン審査に通りやすい層。
医師、公務員、大手企業社員などがターゲットになりやすい理由は明確です。
👉 融資が通りやすく、支払い能力が高いから。
業者は物件価格に手数料・広告費・販売マージンを上乗せし販売時点で利益を確保しています。
つまりオーナーが儲からなくても業者はすでに儲かっている構造です。
契約後に家賃が下がっても業者にとっては関係ありません。
さらに最近では年収が高くない層にもローンを勧めるケースも増えています。
「副業で家賃収入を得ましょう」と言われ実際は返済に苦しむ例も後を絶ちません。
失敗・トラブルを避けるためにできること
もし不動産投資に興味があるなら、次の点を必ず確認してください。
- 契約書を第三者(弁護士・FP)にチェックしてもらう
- 国交省の「サブリース契約に関する注意喚起」を読む
- 複数業者の提案を比較し、数字を自分で検証する
- 「節税」「家賃保証」などの甘い言葉を信じない
- 借入金の返済計画をシミュレーションする
特に節税を目的とするなら不動産ではなく、
小規模企業共済やiDeCoなど合法的な節税制度の方が確実で安全です。
まとめ:ワンルーム投資は“節税”ではなく“事業リスク”
ワンルームマンション投資は「節税」や「副業」という言葉で営業されますが、
実態は高額な借入とリスクを伴う不動産事業です。
契約書の内容を十分理解せずに始めてしまうと家賃減額・ローン返済・修繕費負担と
三重苦に陥る可能性も。
甘い言葉の裏には必ずリスクがあります。
もし営業を受けたら即決せず専門家に相談してから判断するようにしましょう。
不動産投資は「資産形成」ではなく「経営判断」なのです。
