自然災害対策としての保険設計・災害復旧計画(BCP)

―宮崎県・九州の中小企業がとるべき現実的な備え―

1. 宮崎県・九州地方の自然災害リスク

宮崎県を含む九州地方は、台風や豪雨、地震といった自然災害に繰り返し見舞われてきた地域です。
毎年のように台風が接近・上陸し、道路や鉄道が寸断され、物流や営業活動が滞ることは珍しくありません。
さらに、南海トラフ地震など大規模地震のリスクも指摘されています。

中小企業にとっては、建物や設備の損壊、停電や断水、仕入・納品の遅延など「売上が止まる要因」が
災害と直結しています。
数百万円規模の損害でも、事業継続に大きな打撃となるのが現実です。


2. 保険の役割と限界

自然災害への備えとしてまず思い浮かぶのは火災保険や地震保険ですが、
近年は保険料が大きく値上がりしており、フルカバーで加入するのは現実的ではありません。

したがって中小企業では、 「致命的な損害を避けるための最低限の保険」 に絞ることが合理的です。

中小企業におすすめの保険

  • 火災・風水害補償(最低限)
     台風や豪雨被害による修繕費用を補う。
  • 地震保険(必要性を精査)
     建物や設備を守る観点で検討。
  • 労災上乗せ保険
     災害時や重大事故が従業員に発生した場合の補償を厚くする。

ただし、保険は「すべてを守る」ことはできません。
保険金の支払いまでに時間もかかるため、実際の事業継続には限界があることを理解しておく必要があります。


3. BCPとは何か?

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画) とは、災害や事故などの緊急事態に直面しても、
企業が重要な業務を継続したり、できるだけ早く復旧できるようにする計画のことです。

なぜBCPが必要か?

  • 保険だけではカバーできない「業務停止リスク」に備えるため
  • 顧客や取引先への信頼を守るため
  • 補助金申請や金融機関評価でもプラスに働くことがあるため

BCPの作成手順(中小企業向けの簡易版)

  1. 想定リスクを洗い出す
     台風・洪水・地震・停電・物流停止など。
  2. 優先業務を特定する
     売上に直結する業務(例:受発注、製造ライン、顧客対応など)。
  3. 代替手段を検討する
     ・代替拠点(別の営業所や取引先施設)
     ・クラウドサービスでのデータ保管
     ・緊急時の取引先連絡ルート
  4. マニュアル化・教育
     従業員に周知し、年1回程度の訓練を行う。

BCPは大掛かりなものでなくても構いません。
「自社にとって何が止まると致命的か」を考え、最低限の行動指針を決めておくことが重要です。


4. 宮崎県・九州の中小企業における実際的な対策

  • 最低限の火災・風水害補償を確保
     大規模な保険料負担は避けつつ、致命的な修繕費用を補う。
  • BCPで事業継続力を高める
     物流ストップや停電への備えを重点的に。
  • 車社会特有のリスクも補足的に考慮
     災害時に社用車が不可欠なケースも多いため、対人・対物賠償(自動車保険)は必須。

5. まとめ

自然災害は避けることができません。
しかし、宮崎県・九州の中小企業にとっては、

  • 致命傷を避ける最低限の保険
  • 業務を止めない・早く復旧するためのBCP

この二つを組み合わせることが最も費用対効果の高い災害対策です。

過剰に保険料を支払うのではなく、「どこまで保険で守り、どこからBCPで補うのか」を
自社の実情に合わせて設計することが、地域の中小企業にとって現実的な防災・減災の道筋となるでしょう。

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