経理の内製化 vs 外注化:中小企業はどちらが得?

1. はじめに:中小企業で“経理体制をどうするか問題”

中小企業の経営者がよく直面するのが、
「経理を内製化すべきか、それとも外注すべきか」 という問題です。

・経理担当者を雇うと人件費が重い(給料・社会保険料など)
・外注するとスピードが遅いこともある
・税務判断は誰に聞いたらいいの?
・入力だけ外注しても意味はあるの?

など、実は「経理」というひとくくりの中にも複数の選択肢があります。

この記事では、
中小企業が最も失敗しづらい経理体制を、実務者目線でわかりやすく整理しました。


2. 内製化のメリット・デメリット

内製化(自社で経理スタッフを置く)のメリット

  • スピードが速い
    入金確認・支払処理・請求書管理が即日でできる。
  • 自社独自の管理方法に最適化できる
    経営者の好みや業種に合わせて柔軟に運用可能。
  • 情報管理が社内で完結しやすい
    外部に資料を渡すストレスが減る。
  • 補助金申請などの細かい事務作業にも対応できる

内製化のデメリット

  • 人件費が最も高い(社会保険込み)
  • 担当者の退職=業務停止というリスク
  • 税務判断はできない(税理士でないので)
  • 属人化しやすい

「固定費が増える」ことと「人の入れ替わりリスク」は、特に小規模事業者にとって大きな問題です。


3. 外注化の種類と明確な違い

外注化といっても、実は以下の3つは全く違います。

  1. 税理士に委任(税務顧問+記帳)
  2. 会計事務所に外注(記帳代行メイン)
  3. 入力だけ外注(記帳代行の下請け型)

ここを理解していないと、
「丸投げしたつもりが、実は何も解決していなかった」
というケースが起こりがちです。


4. 税務相談ができる・できないの境界(税理士法の観点)

実務上、最も大きな違いは…

税務相談ができるのは税理士だけ

という点です。

会計事務所や入力外注業者に、
「この場合どの勘定科目?」「節税するには?」
などを聞くと、

  • 「それは税務相談なので回答できません」
  • 「税理士さんに聞いてください」

という対応になるケースが実際に多いです。

経理は単なる入力作業ではなく、
税務判断と隣り合わせなので、
税理士が入らない形での外注化は意外と限界があります。


5. 入力だけ任せる方式はなぜトラブルが多いのか

最近増えているのが
「とにかく安い入力外注」です。

しかし、この方式には落とし穴があります。

(1)書類整理は結局社内で必要

レシートの整理・支払予定表の作成など、
入力以外の事務は残る。

(2)仕訳の質が担当者次第

・勘定科目の誤分類
・減価償却のミス
・貸倒引当金など税務判断が必要な処理ができない
など、決算時に修正が大量に発生することがある。

(3)税務相談は一切できない

価格が安いのは、税務判断を伴う作業が含まれていないため。

「安くて楽そう」に見えて、
結局経理・税理士双方の手間が増え、コストも増える
というパターンは珍しくありません。


6. 規模別:おすすめの経理体制モデル

【売上1億円未満の小規模企業】

税理士顧問+入力は外注 or 社内で最低限対応

  • 税務判断が頻繁に必要
  • 書類量が少ないので、社長自身が一部対応しても問題なし

【売上1〜5億円の企業】

経理1名の内製化+税理士顧問

  • スピードも税務もどちらも必要
  • 社内経理1名+税理士が最も安定するゾーン

【売上5億円〜】

経理部を内製化し、税理士は高度な税務戦略へ集中

  • 月次を自社で高速化
  • 税理士には節税・組織再編・事業承継など戦略領域を依頼

7. まとめ

  • 内製化:スピード最強だがコストとリスクが大きい
  • 税理士委任:税務判断ができる唯一の外注先
  • 会計事務所外注:入力中心、税務相談は不可のことが多い
  • 入力だけ外注:安いがトラブルが多く、結局手間が残る

結局は、
「社内でどこまでできるか」×「税務判断がどれだけ必要か」
で最適解が決まります。

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