📉 はじめに:決算直前は「利益の出口」を探すラストチャンス!
決算月が近づくと「今期の利益が出すぎた!どうにか税金を抑えたい」と悩む方も多いのではないでしょうか。
決算直前は年間の利益がほぼ確定し、合法的に税金(法人税)を減らすための具体的なアクションを
取れる最後の機会です。
今回は、中小企業や小規模事業者が今すぐ実行できる節税対策と、
税務署に指摘されないための重要な注意点を専門用語を極力使わずわかりやすく解説します。
💰 I. 駆け込みで使う!現金を「経費」に変える王道対策
決算直前の節税の基本は、利益を減らすために「年内に確実に出費を済ませてしまう」ことです。
1. 10万円未満の消耗品・備品をまとめ買い
【アクション】 必要なものを年内に購入し、支払いを済ませましょう。
- ポイント: 10万円未満のパソコン、プリンター、机、専門書、ソフトウェア、トイレットペーパーなどの
消耗品は、購入した年度に全額経費にできます。 - 青色申告法人の特例: 資本金が1億円以下の会社(多くの中小企業が該当)は、
「30万円未満」の備品も年間合計300万円まで全額経費にできます。
これは非常に強力なルールです。- 例:1台25万円の高性能パソコンを3台購入(合計75万円)→ 全額経費
2. 未払いの費用をしっかり計上する
【アクション】 サービスは受けたけれど、まだ請求書が届いていない、
あるいは支払期限が翌期になっている費用をリストアップしましょう。
- ポイント: まだ支払っていなくても、決算日までにサービスや商品の提供を受けているものは、
「未払金」として今期の経費にできます。 - 具体例: 広告費、コンサルティング費用、電気代や水道代、インターネット回線費用など。
3. 広告宣伝費や修繕費の「前倒し」
【アクション】 翌期に予定していた広告や建物のメンテナンスを前倒しで年内に実行しましょう。
- 具体例:
- 古くなったウェブサイトのリニューアル費用。
- 社用車の車検・修理を年内に済ませる。
- 来年使う名刺やチラシの大量印刷。
🏦 II. 利益を次期に繰り延べる「共済」の活用
現金が出ていっても、将来、必要な時に戻ってくる、貯蓄性の高い節税策です。
1. 💡 中小企業倒産防止共済(セーフティネット共済)
【アクション】 共済の窓口(商工会や金融機関など)に申し込み、掛け金を払いましょう。
- ポイント: 毎月最大20万円(年間240万円)の掛け金が全額経費になります。
- 前払いも可能: 1年分の掛け金(最大240万円)をまとめて前払いすることもでき、
その全額が当期の経費になります。 - 安心の備え: 40ヶ月以上積み立てれば、解約時に掛け金が全額戻ってきます(解約手当金)。
また、取引先が倒産した際には借り入れができる、まさに「セーフティネット」です。
2. 👥 役員・従業員への決算賞与
【アクション】 従業員に決算賞与を支給する準備をしましょう。
- ポイント: 決算直前でも、「いつ」「誰に」「いくら払うか」を従業員に明確に通知し、
未払金として計上すれば実際に支払うのが翌期でも今期の経費にできます。 - 注意点: 支払う金額が不明確だと経費として認められません。
また、役員(社長)の賞与は原則として決算直前では経費にできませんので注意してください。
関連記事:役員報酬の決め方完全ガイド【損金算入・税務リスク】
🌞 III. 南九州の経営者が意識したい地域特有の視点
宮崎・鹿児島という地域特性を活かした視点も持っておきましょう。
- 災害対策費の計上: 南九州は台風などの自然災害リスクがあります。事業継続(BCP)の観点から、非常用電源や防災備品の購入、火災保険・損害保険の見直し・前払いなどを検討し、リスク対策と同時に経費化を進めましょう。
- 地場産品・地場サービスの活用: 地域のコワーキングスペース利用料や、地元のコンサルタントへの報酬、地元の販促ツール製作など、地域経済への貢献も兼ねた出費も有効な経費です。
⚠️ IV. 節税対策で失敗しないための3つの注意点
節税は大切ですが、「やりすぎ」や「無理」は禁物です。以下の3つのポイントを必ず守りましょう。
1. キャッシュフローの悪化が最大の敵
節税のためだけに不要な在庫や備品を大量に購入すると、**手元の現金(キャッシュ)**が減ってしまいます。
- 「資金繰りが苦しくならないか?」を最優先に考えましょう。
税金を払うための現金を残しておくことも、経営者の重要な仕事です。
2. 翌期の「反動」を意識する
今期に経費を集中させすぎると来期の利益が不自然に大きく見えてしまうことがあります。
- 結果として翌期の税金対策が難しくなったり、金融機関からの融資評価に影響が出たりする可能性があります。
計画的に利益の平準化を図りましょう。
3. 税務署に合理的な説明ができるか?
どんな節税策も、「会社の事業に本当に必要な支出だったのか」という合理性が求められます。
- 極端に高額な個人のための買い物や、事業と無関係な支出は、税務調査で否認され、
追徴課税の対象になる可能性があります。
✅ まとめ:まず税理士に相談を
決算直前の対策はスピードが命ですが、最も確実で安全な方法は、
あなたの会社の状況を把握している税理士に相談することです。
「利益がこれくらい出そうだが、何か対策はないか?」と相談することで、
法人の種類やこれまでの経費計上の状況に合わせた最適なアドバイスが受けられます。
