1. 年金をもらいながら働ける「在職老齢年金制度」
65歳以上の方は、厚生年金を受け取りながら働くことが可能です。
ただし、給与の金額によっては 年金の一部または全部が支給停止になる場合があります。
これを「在職老齢年金」と呼びます。
2. いくらまでなら減額されない?
2025年4月から基準が緩和され、現在は以下のルールになっています。
年金(月額)+給与の標準報酬月額(賞与も加算されます)が 51万円以下 → 減額なし
51万円を超えると、超過部分の半分が年金から差し引かれます。
※減額判定に含まれるのは老齢厚生年金部分のみです。
基礎年金(国民年金部分)は減額判定に含まれません。
詳しくは日本年金機構の在職老齢年金の支給停止の仕組みをご確認ください。
3. 「給与」以外での受け取りに分散する方法
経営者の場合、報酬を「給与」だけで受け取るのではなく、
以下のように分散することで年金の減額リスクを減らせます。
- 役員給与を抑えて、役員個人に家賃を支払う
→ 会社の建物や土地を社長個人が所有している場合、会社から「地代・家賃」として支払うことが可能。
→ 家賃収入は給与ではないため、在職老齢年金の調整には含まれません。 - 配当で受け取る
→ 役員報酬を下げて、その分を配当で還元する方法もあります。配当は「給与」ではないため
年金減額に影響しません。 - 退職金制度を活用する
→ 在職中の給与を低く抑え、退職時に退職金でまとめて受け取る方法。
税務上も優遇されるため有利です。
4. 注意点
- 税務署に「給与を不当に抑えている」と見られないよう、
合理的な範囲で役員報酬と家賃を設定することが重要です。 - 家賃を支払う場合は、賃貸借契約書の作成・相場家賃の妥当性を確認しておきましょう。
- 社会保険や税務とのバランスを考えると、税理士や社労士への相談が安心です。
✅ まとめ
経営者が年金をもらいながら働く場合、「給与の額」だけで判断せず、
- 51万円ルールを把握する
- 給与以外の方法(家賃・配当など)で受け取る
- 税務リスクに注意する
この3点を意識することで、年金を減らさず効率的に資産を守ることができます。