売掛金が回収できない時の全手順|今すぐ取るべき対応と未然に防ぐ方法を徹底解説

売掛金がなかなか支払われない…
何度連絡しても“もう少し待ってほしい”と言われるだけ
このままでは資金繰りが持たない

こうした悩みは、多くの中小企業・個人事業主が抱えています。
売掛金はビジネスの血流ともいえる存在で、未回収が続くと資金繰りは一気に悪化し、
黒字でも倒産してしまう可能性があります。

この記事では、
売掛金が回収できない時の“今すぐできる対応”から、法的手続きの流れ、税務処理、未然防止策まで
実務に必要なすべてをわかりやすくまとめました。

法的リスクに配慮しつつ経営の現場で実行可能な内容に絞っています。


1. 売掛金が回収できないと何が起こる?

売掛金の遅延は単なる「入金遅れ」ではありません。次のようなリスクにつながります。

● 資金繰りの悪化

予定通りの入金がなければ、

  • 仕入先への支払い
  • 給与
  • 家賃
    といった固定費に影響が出ます。

● 黒字倒産のリスク

利益が出ていても、キャッシュが不足すると倒産します。
大企業も含め、黒字倒産の多くは売掛金の未回収が引き金です。

● 税務上の問題(貸倒損失)

回収できない売掛金は、条件を満たせば「貸倒損失」として損金にできますが、
回収努力の記録や客観的資料が必須 です。


2. まず行うべき「初期対応」

感情的にならず、実務的に淡々と進めるのが重要です。

2-1. 取引内容を客観的に整理する

まずは次の資料を手元に揃えます。

  • 契約書または注文書
  • 見積書
  • 請求書
  • 納品書・検収書
  • メール・メッセージ記録

相手に非があっても、こちらの証拠が不十分だと後の手続きが不利になります。

2-2. 事実確認(支払意思の有無)

まずは冷静に確認します。

● よくある支払遅延理由

  • 資金繰りが悪化して払えない
  • 請求内容への認識違い
  • 社内決裁が遅れている
  • 忘れている、担当者が退職した

悪意ではないケースも多いため、
“支払う意思があるか” を正確に把握することが重要です。

2-3. 支払条件の再交渉も選択肢

相手に支払意思がある場合は、

  • 分割払い
  • 支払サイトの延長
  • 必要書類の再発行
    など柔軟な対応を検討します。

ただし、安易に譲歩すると“支払わなくてもいい会社”と認識される恐れもあり、バランスが必要です。


3. 払ってくれない時の回収ステップ(実務順)

■ ステップ1:電話・メールで督促

穏やかに、記録が残る形で進めます。

  • 「支払期日を過ぎています」
  • 「入金予定日を教えてください」

この段階ではトラブル防止のため語気を強めない方が良いです。

■ ステップ2:書面での督促(催告書)

郵送で「支払いの催告」を行うと、相手の態度が変わることがあります。

催告書には、

  • 金額
  • 支払期限
  • 遅延損害金の有無
  • 期限までに支払われない場合の対応(法的措置を検討など)
    を明記します。

■ ステップ3:内容証明郵便で正式に請求

相手に心理的なプレッシャーがかかり、支払いに応じるケースが多いです。

文面例:

  • 支払期限
  • 金額
  • 今後の対応(法的手続きに移行する可能性)

※法的拘束力はありませんが「本気度」が伝わる重要なステップです。

■ ステップ4:支払督促(簡易裁判所)

裁判所が「支払え」と命じる文書を送る手続きで、
最速・低コスト で進められます。

相手が異議を出さなければ、そのまま判決と同じ効力になります。

■ ステップ5:少額訴訟(60万円以下)

簡易裁判所で行う制度で、
1回の審理で結論が出る ためスピーディーです。

■ ステップ6:通常訴訟 → 強制執行

相手が資産を持っている場合、
裁判 → 強制執行(預金・売掛金差押え)
となります。

弁護士に依頼するかどうかは

  • 回収額
  • 相手の資産状況
  • 長期化の可能性
    を踏まえて判断する必要があります。

4. 黒字倒産を防ぐ「資金繰り対策」

売掛金の未回収が続くと資金が枯れます。
次の手段を検討しておくと安全です。

4-1. ファクタリング

売掛金を早期現金化する方法。
手数料はかかりますが、倒産リスクを下げる効果があります。

関連記事:ファクタリングとは?仕組み・メリット・デメリットを徹底解説

4-2. ビジネスローン・信用保証付融資

必要に応じて資金繰りを確保するための手段です。
返済計画と金利負担に注意が必要。

4-3. 経営セーフティ共済(倒産防止共済)

取引先が倒産した場合、売掛金の10倍(最大8,000万円)まで借入可能。
資金繰り対策として非常に有効です。

関連記事:倒産防止共済とは?節税とリスク対策が両立できる中小企業向け制度解説


5. 回収できない場合の「貸倒損失」(税務)

税務上、損金計上するには要件があります。

■ 貸倒損失として認められる例

  • 相手が倒産
  • 夜逃げ・行方不明
  • 法的整理
  • 回収不能が客観的に明らか

ただし、
回収努力の記録(メール・内容証明・督促書など)
が必要です。


6. 今後同じことを防ぐための「再発防止策」

6-1. 与信管理を行う

取引開始前に

  • 商業登記
  • 決算書
  • 支払遅延の有無
    などを確認します。

関連記事:取引先の信用調査と与信管理

6-2. 契約書に必ず盛り込むべき条項

  • 支払期日
  • 遅延損害金
  • 期限の利益喪失条項(延滞したら即時請求可能)
  • 契約解除条項

これだけで回収率が大幅に改善します。

6-3. 取引条件を工夫する

  • 前金・半金
  • 代引き
  • クレジットカード決済
  • 小口化してリスク分散

6-4. 取引先を分散させる

一社に依存しすぎないことは、健全経営の基本です。


まとめ

売掛金の未回収は、どの事業者にとっても深刻な問題です。
しかし、適切な手順を踏めば回収の可能性は高まりますし、
万が一回収できなかった場合でも税務上の手当てやリスク対策があります。

重要なのは

①落ち着いて事実確認
②証拠を揃えて段階的に請求
③必要に応じて法的手続き
④資金繰り対策で倒産リスクを回避
⑤再発防止策で将来の被害を減らす

という流れを理解し、実務的に動くことです。

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