取引先の信用調査と与信管理

~売掛金リスクを防ぐために経営者が押さえておくべき基本~

はじめに

中小企業にとって、取引先の「信用力」を見極めることは非常に重要です。
どんなに商品やサービスが優れていても、取引先が代金を支払えなければ経営に大きなダメージを与えます。
本記事では、経営者が実務で活用できる「信用調査」と「与信管理」の基本について解説します。


1. 信用調査の基本とは?

信用調査とは、取引先の支払能力や経営の安定性を確認することです。具体的には以下の方法があります。

  • 登記簿謄本の確認
     会社の所在地、役員、設立年月日などの基本情報を確認。ペーパーカンパニーや
    怪しい企業を避ける第一歩です。
  • 帝国データバンクや東京商工リサーチなどの信用調査会社のレポート
     財務状況・支払実績・取引先評価などがまとまっており、取引判断の参考になります。
  • インターネットや口コミ調査
     Webサイトの更新状況、ニュース記事、SNSでの評判からも経営実態を推測できます。
  • 直接のヒアリング
     決算内容、資金繰り、主要取引先などを聞くことで、表に出ないリスクを知ることができます。

2. 与信管理の重要性

与信管理とは、取引先に「どのくらいの信用(売掛金・掛取引)」を認めるかを決める仕組みです。

  • 与信限度額の設定
     取引先の信用度に応じて、売掛金の上限を設定。大口取引の場合は段階的に取引額を増やすのが安全です。
  • 支払条件の調整
     新規取引では前払い・半金前払いを交渉する、請求書の締め日と支払日を短くするなどでリスクを減らせます。
  • モニタリング
     取引開始後も、支払い遅延・業績悪化の兆候を見逃さないことが大切です。

3. 経営者がチェックすべきリスクサイン

以下の兆候があれば、要注意です。

  • 支払いが遅れることが増えた
  • 担当者が頻繁に変わる
  • 決算書の提出を嫌がる
  • ネットニュースで「倒産・不渡り」関連が報じられる
  • 主力取引先や仕入先が変わっている

4. 信用調査・与信管理を習慣化するコツ

  • 年に1回は主要取引先の信用調査を実施する
  • 担当者任せにせず、経営者自身も確認する
  • 小口でも新規取引は必ず基本情報をチェックする
  • 信用調査費用は「保険」と考える(倒産損失に比べれば安い)

まとめ

信用調査と与信管理は、中小企業経営における「防御の経営戦略」です。
売上を増やすことと同じくらい、売掛金リスクを減らすことが重要です。
経営者は取引先の信用を定期的に確認し、トラブルが起こる前にリスクを回避する仕組みを整えましょう。

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