― 便利さとリスクを正しく理解するために ―
在宅勤務や外出先からの業務対応が当たり前になり、
「社外から社内PCに接続できる仕組み」として RDP(リモートデスクトップ) を使っている、あるいは検討している中小企業も多いのではないでしょうか。
RDPはWindowsに標準搭載されており、追加コストがほとんどかからない点が大きな魅力です。
一方で、使い方を誤ると経営リスクにつながる可能性がある仕組みでもあります。
本記事では、技術的な詳細には踏み込まず、
中小企業の経営者が判断するために知っておきたいポイントを整理します。
なぜ中小企業でRDPが選ばれやすいのか
RDPが中小企業で広く使われている理由は、非常にシンプルです。
- Windows標準機能のため追加費用がかからない
- 既存の社内PCをそのまま使える
- 導入が簡単で、すぐに在宅勤務を始められる
「コストをかけずに、今すぐ使える」
この点は、経営判断としても合理的に見えます。
ただし、この“手軽さ”が、後述する見落としにつながりやすい点でもあります。
経営者目線で見たRDPの主なメリット
まずは、RDPのメリットを正しく整理しておきましょう。
- 初期費用・月額費用がほぼかからない
- 社外でも社内と同じ作業環境を使える
- 業務の継続性(BCP)を高めやすい
特に、
- 従業員数が少ない
- 専任のIT担当者がいない
といった中小企業では、「現実的な選択肢」であることは間違いありません。
重要なのは、
RDP自体が悪いわけではない
という点です。
経営者が把握しておきたいRDPの注意点
一方で、経営者として把握しておくべき注意点もあります。
① 社内PCを「社外に公開する」仕組みである
RDPは、社外から社内PCに直接接続できる仕組みです。
設定によっては、第三者からもアクセス可能な状態になってしまうことがあります。
② 設定・運用が属人化しやすい
- ITに詳しい社員
- 外部業者
に任せきりになり、
- どういう設定になっているのか
- 安全な状態なのか
を経営者自身が把握していないケースも少なくありません。
③ 事故が起きた場合、最終責任は経営者に戻る
不正アクセスや情報漏洩が発生した場合、
- 「詳しい人に任せていた」
- 「よく分からなかった」
という理由は、免責にはなりにくいのが実情です。
RDPの利用に注意が必要なケース
以下に当てはまる場合は、一度立ち止まって確認することをおすすめします。
- 自宅の私物PCからRDP接続している
- パスワードだけで接続できる設定になっている
- 管理者権限のまま利用している
- 使っていないRDP接続が残っている
1つでも該当すれば、
「すぐに問題が起きる」という意味ではありませんが、見直し余地がある状態と考えるのが無難です。
中小企業がRDPを使うなら押さえておきたい最低限の考え方
完璧なセキュリティ対策を目指す必要はありません。
中小企業の現実を踏まえると、
**「最低限ここは守る」**というラインを意識することが重要です。
- 社外から直接RDPに接続させない(VPN経由など)
- パスワード以外の認証手段を検討する
- 誰が・いつ接続したかを確認できる状態にする
- 不要なRDP接続は無効化する
これらは、
コストを抑えながらリスクを下げるための基本的な考え方です。
RDP以外の選択肢も「判断材料」として知っておく
RDPが唯一の選択肢ではありません。
- 仮想デスクトップ
- シンクライアント
- 業務をSaaSに置き換える
など、会社の規模や業務内容によっては、
結果的に管理が楽で安全な選択になる場合もあります。
重要なのは、
「RDPしか知らない」状態で判断しないこと
です。
まとめ:RDPはITの話ではなく「経営判断」
RDPは、
- 正しく使えば便利な仕組み
- 誤った使い方をすると経営リスクになる仕組み
という、両面を持ったツールです。
経営者として重要なのは、
- 技術を理解することではなく
- 判断のポイントを押さえること
です。
「安いから」「簡単だから」だけで終わらせず、
自社のリスクとして一度整理してみることをおすすめします。
それだけでも、RDPに対する経営判断の質は大きく変わるはずです。
